近年、企業・自治体・個人事業主を問わず「個人情報の適切な取り扱い」が強く求められるようになりました。個人情報漏えい事故は企業の信用を大きく揺るがし、場合によっては事業継続に影響することもあります。こうした背景から注目されているのが、全日本情報学習振興協会が主催する「個人情報保護士認定試験」です。
本記事では、個人情報保護士認定試験の特徴・難易度・メリットまで、受験を検討する方が知りたい情報を詳しく解説します。
個人情報保護士認定試験とは？
個人情報保護士認定試験は、個人情報保護のエキスパートを認定する民間資格で、全日本情報学習振興協会が主催しています。
2005年の個人情報保護法全面施行に合わせて開始され、現在では受験者数 No.1 の個人情報保護資格として広く認知されています。
試験の目的
- 個人情報保護法やマイナンバー法の正しい理解
- 企業・自治体で個人情報を適法・適正に扱うための知識習得
- 情報漏えいリスクを防ぐための実務能力の証明
個人情報保護はすべての事業者に求められるため、業種・職種を問わず役立つ資格です。
個人情報保護士を取得するメリット
企業からの信頼度が高い
個人情報保護は企業のコンプライアンスの根幹です。資格を持つことで、「個人情報を適切に扱える人材」として評価されます。
実際、日立ソリューションズでは課長職以上に有資格者を配置していたという事例もあります。
法務・人事・総務などで強みになる
個人情報を扱う部署では、資格があることで業務理解が深まり、キャリアアップにもつながります。
マイナンバー制度への対応力が身につく
マイナンバー法も出題範囲に含まれるため、企業のマイナンバー管理担当者にも有用です。
名刺に認定ロゴを使用できる
合格者には認定カードが発行され、名刺にロゴを使用できるため、対外的なアピールにもなります。
更新制度で知識をアップデートできる
認定カードは2年ごとに更新が必要で、WEB講習を受講することで最新の知識を維持できます。
どんな人におすすめ？
- 企業の個人情報管理担当者
- 総務・人事・法務部門の職員
- マイナンバー管理担当者
- 情報セキュリティに関心がある人
- 就職・転職でアピール材料が欲しい人
特に、コンプライアンス意識の高い企業に勤める方には強くおすすめできる資格です。
個人情報保護士認定試験について
分類
民間資格
受験資格
誰でも受験できます。
申込期間
- 2月中旬～5月下旬
- 6月上旬～8月下旬
- 9月上旬～11月上旬
- 11月中旬～翌年2月中旬
申込方法
インターネットで申し込み出来ます。
試験方式・受験方法
受験方法は柔軟で、ライフスタイルに合わせて選べます。
公開会場試験
全国主要都市の会場でマークシート方式。
オンライン受験
360度カメラを使用し、自宅から受験可能。
CBT試験
全国のテストセンターでパソコン受験。
試験日
- 6月下旬
- 9月下旬
- 12月中旬
- 翌3月中旬
合格発表
試験より約1ヶ月後
受験料
- 一般：11,000円（税込）
- 学割：8,800円（税込）
試験地
- 公開試験
札幌、仙台、東京、横浜、埼玉、千葉、名古屋、大阪、京都、神戸、福岡 - CBT試験（全国の提携校でのパソコンのシステムで受験）
函館、札幌、青森、盛岡、仙台、山形、郡山、水戸、小山、大宮、川越、千葉、八重洲、池袋、新宿、立川、町田、平塚、鎌倉、桜木町、新潟、富山、金沢、福井、甲府、長野、岐阜、浜松、東岡崎、一宮、名古屋、京都、大阪、神戸、和歌山、鳥取、岡山、広島、徳島、浜松、高知、博多、飯塚、古賀、小倉、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、那覇 - オンライン受験（自宅など）
受験方法
- 公開会場受験
全国の公開会場でマークシート記載形式 - オンラインIBT受験
自宅等で360度全周Webカメラとパソコンを使用して受験 - CBT受験
全国のテストセンターに設置のパソコンを使用して受験
試験内容
課題Ⅰ・課題Ⅱ：各50問／150分
- 課題Ⅰ 個人情報保護法とマイナンバー法の理解（50問）
個人情報保護法総説、個人情報保護法の基本法部分、個人情報に関する義務、個人データに関する義務、個人関連情報に関する義務、保有個人データに関する義務、仮名加工情報取扱事業者等の義務、匿名加工情報に関する義務等、実効性を担保する仕組み等、行政機関等における個人情報等の取扱い、マイナンバー法の理解 - 課題Ⅱ 個人情報保護の対策と情報セキュリティ（50問）
脅威と対策、組織的・人的セキュリティ、オフィスセキュリティ、情報システムセキュリティ
合格率
40％程度
勉強時間・勉強方法
勉強時間
勉強時間は、人によって異なります。以下は、一つの目安です。
50〜80時間（約3〜4週間程度）
勉強方法
独学で合格可能です。
個人情報保護士認定試験の書籍
個人情報保護士認定試験の書籍を以下のリンクから検索することができます。
役立つサイト
- 一般財団法人 全日本情報学習振興協会
主催団体のサイトです。試験の最新情報をチェック出来ます。
個人情報保護士は今後ますます価値が高まる資格
個人情報保護士認定試験は、個人情報保護法・マイナンバー法の理解を深め、企業や自治体で求められる実務能力を証明できる資格です。
- 出題範囲が明確で学習しやすい
- 合格率は約40％程度で適度な難易度
- 企業からの信頼度が高い
- 名刺ロゴや更新制度で継続的に価値を維持できる
個人情報保護の重要性が高まる現代において、取得するメリットは非常に大きいと言えます。
