企業活動において「コスト削減」と「価値向上」は、常に両立が求められるテーマです。ただ単に安くするだけでは品質が下がり、品質ばかり追い求めるとコストが膨らむ。このジレンマを論理的に解決する手法として注目されているのがVE(Value Engineering/価値工学)です。
そして、そのVE活動を現場で主導する専門資格が「VEリーダー」です。
製造業・建設業はもちろん、近年ではサービス業や自治体、医療分野にまで活用が広がっており、問題解決力とマネジメント力を兼ね備えた人材の証明として評価されています。
本記事では、VEリーダー資格の概要から、取得メリット、試験内容、勉強方法、向いている人まで詳しく解説していきます。
VEリーダーとは
VEリーダーとは、一般社団法人 日本VE協会が認定するVE資格のひとつで、VE活動を「実践・推進・指導」できるレベルの専門家であることを証明する資格です。
VE(価値工学)とは、「機能 ÷ コスト」という考え方を基本に、
- 必要な機能は何か
- 本当にそのコストは妥当か
- 代替手段はないか
といった問いを通じて、価値を最大化する改善手法です。
VEリーダーは、そのVE手法を用いて、チームをまとめながら改善活動をリードする役割を担います。単なる理論理解ではなく、「現場で使えるVE」を実践できる点が大きな特徴です。
VEリーダーが注目される理由
コスト削減だけで終わらない「本質改善」ができる
VEは、単なるコストカット手法ではありません。
機能分析を通じて「本当に必要な価値は何か」を明確にするため、品質向上・業務効率化・顧客満足度向上につながります。
VEリーダーは、この本質的な改善を主導できる人材として評価されます。
マネジメントスキルの証明になる
VEリーダーは、個人作業ではなくチーム活動が前提です。
そのため、以下の能力が自然と求められます。
- 課題設定力
- ファシリテーション能力
- 合意形成力
- プレゼンテーション力
資格取得そのものが、「改善をまとめ上げる力を持っている」証明になるのは大きな強みです。
製造業・建設業を中心に評価が高い
特に以下の業界では、VEリーダー資格の評価が高い傾向にあります。
- 製造業(設計・生産技術・品質管理)
- 建設業・プラントエンジニアリング
- インフラ・公共事業
- メーカーの企画・開発部門
コストと品質のバランスが重要な業界ほど、VEリーダーの知見は重宝されます。
3. VEリーダー資格のメリット
仕事の幅が広がる
VEは製造業だけでなく、サービス業、建設業、行政など幅広い分野で活用されています。 VEリーダーを取得することで、改善活動の中心人物として活躍できるようになります。
キャリアアップに直結
資格Timesによると、VEリーダーは製品価値向上やコスト改善に関わる職種で評価されやすく、転職市場でも有利に働くとされています。
上位資格へのステップ
VE資格には4段階あり、VEリーダーはその最初のステップです。
- VEL(VEリーダー)
- VEI(VEインストラクター)
- VES(VEスペシャリスト)
- CVS(国際資格)
VEを専門スキルとして極めたい人にとって、VEリーダーは必須の入口となります。
VEリーダーに向いている人
VEリーダーは、次のような方に特におすすめです。
- 改善活動や業務改革に関わっている
- 現場と管理の橋渡し役を担っている
- 論理的に物事を考えるのが得意
- チームで成果を出す仕事が好き
- 技術+マネジメントの両方を伸ばしたい
「黙々と作業するより、仕組みそのものを良くしたい」という方には、非常に向いている資格です。
VEリーダーの資格試験について
分類
民間資格
受験資格
以下の必要とする内容を含むVE研修を受講していること。
①VE概論とVE実施手順に関する講義、及びVE実施手順に関する演習 計12時間以上
②VE概論の講義とVE実施手順に関する講義 6時間
③VE概論とVE実施手順に関する講義3時間、及びVE実施手順に関する演習 6時間
④日本VE協会が設定する通信講座
申込期間
前期:4月上旬~7下旬
後期:8月中旬~2下旬
申込方法
インターネットで申し込みできます。
試験日
CBT方式
前期:4月中旬 ~ 7月下旬
後期:9月上旬 ~ 2月下旬
合格発表
試験終了後にメールにてスコアレポートを提供します。
受験料
22,000円
※学生の方は11,000円(各税込)
試験地
全都道府県の試験会場
試験内容
90分、CBT方式
- VEの概要
VEの社会的貢献、VEの経営への貢献、日本におけるVE、VEの定義、VEの基本原則、VEの適用対象、VEの適用段階、既存システム改善、原価関係の知識とVE、人的資源活用とVE、情報とVE - VEの実施手順
機能定義段階、機能評価段階、代替案作成段階、既存システムのVE提案、 - VE適用の管理
特定対象の管理の意義と内容
合格率
80%前後
勉強時間・勉強方法
勉強時間
勉強時間は人によって異なります。以下は、一つの目安です。
30~50時間
勉強方法
独学で取得可能です。
VEリーダーの書籍
VEリーダーの書籍を以下のリンクから検索することができます。
役立つサイト
- 日本VE協会
主催団体のサイトです。試験の最新情報をチェック出来ます。
VEリーダーは「改善を仕事にする人」のための資格
VEリーダーは、単なる知識資格ではありません。
改善を実行し、成果を出し、組織に定着させる人材であることを証明する資格です。
- コストと価値のバランスを取れる
- 論理的に改善を進められる
- チームをまとめられる
こうした力を身につけたい方にとって、VEリーダーは非常に価値の高い資格と言えるでしょう。
「現場を良くしたい」「組織を変えたい」
そんな想いを持つ方は、ぜひVEリーダー資格への挑戦を検討してみてください。

