システム監査技術者試験(試験日・試験内容・受験料)を徹底解説!

IT業界でのキャリアアップを目指す皆さん、そして企業の**「守り」を担うプロフェッショナルを目指す皆さん、本日ご紹介するのは、情報処理技術者試験の中でも特に高度で専門的な知識が求められる国家資格、「システム監査技術者試験 (AU)」**です。

この記事では、単なる試験概要だけでなく、この資格があなたのキャリアにどのような価値をもたらすのかまで徹底的に解説します。

目次

システム監査技術者試験とは

システム監査技術者は、独立した立場で、情報システムや組込みシステムを監査する業務に従事し、リスク分析やシステムに関するコントロールを検証、評価することにより、ITガバナンスの向上やコンプライアンスを確保します。

資格の概要と位置づけ

システム監査技術者試験(Information Technology Engineer Examination, AU: Auditor)は、情報処理技術者試験のスキルレベル4に位置づけられる最難関の高度試験の一つです。

この資格は、IPA(情報処理推進機構)が実施する試験の中でも、特に**「情報システムに関するリスクを適切に評価し、独立かつ専門的な立場で監査を実施できる能力」**を証明するものです。

  • スキルレベル: 4 (最高難度)
  • 対象者像: 企業の情報システムに関するリスク管理、セキュリティ、コンプライアンスの観点から、独立・公正な立場で監査計画の策定、実施、報告、フォローアップを一貫して行える者。
  • 役割: 企業のITガバナンスを支える「守りのスペシャリスト」としての役割を担います。

システム監査の社会的意義の高まり

近年、企業のIT依存度は高まる一方であり、同時にサイバー攻撃、内部不正、システム障害といったITリスクは、企業の存続をも脅かす重大な経営課題となっています。

このような背景から、システム監査技術者が担う役割の重要性は飛躍的に高まっています。

  • 経営層からの要請: IT投資の妥当性、情報セキュリティ対策の有効性、コンプライアンス(法令遵守)体制の健全性について、客観的な保証を求める声が強まっています。
  • 法令・規制対応: 個人情報保護法、金融商品取引法(J-SOX)、GDPR(EU一般データ保護規則)など、ITシステムの適正な管理を求める法規制への対応が不可欠です。システム監査は、これらの法令遵守状況をチェックし、改善を促す役割を果たします。
  • 企業の信頼維持: システム監査による透明性の高いチェック体制は、ステークホルダー(株主、顧客、取引先)からの信頼を獲得・維持するために不可欠です。

この資格がキャリアにもたらす具体的な価値

システム監査技術者資格は、単なる知識の証明に留まらず、あなたのキャリアに極めて高い付加価値を与えます。

市場価値の向上とキャリアパスの拡大

  • 転職・昇進での優位性: 監査法人や大手企業のシステム部門では、この資格が必須要件、または極めて有利な評価項目とされることが多く、転職市場において圧倒的なアドバンテージとなります。
  • 独立・フリーランス: 独立系のシステム監査人として、特定の監査業務やコンサルティングサービスを提供する道も開けます。

業務スキルの体系化と深い洞察力の獲得

この試験の学習を通じて得られる知識は、監査の手法に留まりません。

  • リスクマネジメント: 企業のIT資産に対する潜在的なリスクを洗い出し、評価する体系的なスキルが身につきます。
  • ITガバナンス: 経営戦略に基づいたITの適正な統制・管理の仕組み(ガバナンス)を理解し、その構築に貢献する能力が養われます。
  • 法令・規制: IT関連の主要な法令やガイドラインに関する知識が深まり、コンプライアンス遵守のプロフェッショナルとなります。

他の専門家との連携能力

システム監査は、IT専門家だけでなく、公認会計士、弁護士、内部監査部門など、多岐にわたる専門家との連携が不可欠です。この資格を持つことで、異なる専門領域のプロフェッショナルと対等に議論し、協働できる共通言語と視点を持つことができます。

システム監査技術者試験について

分類

国家資格

受験資格

誰でも受験できます。

申込期間

7月中旬

申込方法

インターネットで申し込むことができます。

試験日

10月

合格発表

12月中旬

受験料

7,500円

試験地

全国主要都市

試験内容

午前Ⅰの出題範囲

応用情報技術者試験の午前試験の出題範囲と同様

午前Ⅱの出題範囲

分野カテゴリ
技術要素データベース
ネットワーク
セキュリティ
開発技術システム開発技術
サービスマネジメントサービスマネジメント
システム監査
経営戦略経営戦略マネジメント
企業と法務企業活動
法務

午後の出題範囲

分野カテゴリ
情報システム・組込みシステム・通信ネットワークに関すること経営一般,情報戦略、情報システム(アプリケーションシステム、ソフトウェアパッケージ、クラウドコンピューティング、モバイルコンピューティングなどを含む)、組込みシステム、通信ネットワーク(インターネット、有線及び無線LAN など)、ソフトウェアライフサイクルモデル、プロジェクトマネジメント、ITサービスマネジメント、インシデント管理、情報システムリスク管理、品質管理 など
システム監査の実践に関することIT ガバナンス、IT統制、情報システムや組込みシステムの企画・開発(アジャイル開発を含む)・運用・利用・保守フェーズの監査、外部サービス管理の監査、事業継続管理の監査、人的資源管理の監査、ドキュメント管理の監査、システム開発プロジェクトの監査 など
システム監査人の行為規範に関すること監査体制(監査に対するニーズの把握、監査品質の確保を含む)、監査人の独立性・客観性・慎重な姿勢、監査計画(リスクアプローチを含む)、監査の実施、監査報告、フォローアップ、CAAT(データ分析ツール、電子調書システムなど)、ディジタルフォレンジックス、CSA(統制自己評価)、他の関連する倫理規範 など
システム監査関連法規に関すること情報セキュリティ関連法規(刑法、不正アクセス禁止法、プロバイダ責任制限法など)、個人情報保護関連法規、。知的財産権関連法規、労働関連法規、法定監査関連法規(会社法、金融商品取引法など)、システム監査及び情報セキュリティ監査に関する基準・ガイドライン・施策、内部監査及び内部統制に関する基準・ガイドライン・施策など

試験方式

時間形式問題数
午前Ⅰ50分多肢選択式30問
午前Ⅱ40分多肢選択式25問
午後Ⅰ90分記述式3問中、2問を選択して回答
午後Ⅱ120分記述式2問中、1問を選択して回答

合格率

10~15%前後

勉強時間・勉強方法

勉強時間

100~150時間程度

勉強方法

独学でも可能ですが、通信講座などスクールで勉強した方が効率的に勉強を進めることが出来ます。

システム監査技術者試験の書籍

システム監査技術者試験の書籍を以下のリンクから検索することができます。

役立つサイト

システム監査技術者は「ITの守護者」

システム監査技術者試験は、一朝一夕で合格できる甘い資格ではありません。しかし、この資格の学習過程で得られる「リスクを多角的に評価し、独立した立場で適切な提言を行う能力」は、現代のデジタル社会において、企業経営を支える上で最も重要なスキルセットの一つです。

合格は、あなたをITガバナンスとコンプライアンスのプロフェッショナルへと変貌させ、企業における「ITの守護者」としての地位を確立するでしょう。

難関を突破した暁には、IT業界でのキャリアは新たな高みへと到達しているはずです。

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