昨今、日本の中小企業において「後継者不在」は極めて深刻な社会課題となっています。そんな中、士業やコンサルタント、金融機関職員の間で急速に注目を集めているのが、日本経営管理協会(JIMA)が認定する「事業承継支援スペシャリスト」です。
今回は、この資格がなぜ今必要なのか、具体的な試験の内容や取得のメリットまで徹底解説します。
事業承継支援スペシャリストとは?
資格の概要と社会的背景
「事業承継支援スペシャリスト」は、内閣府認証の特定非営利活動法人である**日本経営管理協会(JIMA)**が主催する認定資格です。
現在、日本には約330万社以上の中小企業がありますが、その経営者の平均年齢は70歳に迫っています。さらに、そのうちの約半数近くが「後継者が決まっていない」という現状にあります。このままでは、優れた技術やサービスを持つ企業が、黒字であっても廃業せざるを得ない「大廃業時代」が到来すると危惧されています。
こうした背景から、単なる知識の提供だけでなく、親族内承継からM&A(第三者承継)までをトータルでコーディネートできる専門家の育成を目的として作られたのが、この資格です。
日本経営管理協会(JIMA)の信頼性
日本経営管理協会は、1955年に創立された歴史ある団体です。「経営管理士」などの資格でも知られており、コンサルタントの育成において日本屈指のノウハウを持っています。そのため、本資格も単なる「お勉強」に留まらず、現場で使える実務スキルの証明として高く評価されています。
資格取得支援講座
日本経営管理協会認定事業承継支援スペシャリスト資格の取得を支援するために、日本経営管理協会で2日間の公開講座を開催しています。
資格取得のメリット:なぜ今、この資格なのか
圧倒的な「差別化」につながる
税理士、公認会計士、中小企業診断士といった既存の国家資格を持つ方にとって、事業承継は非常に親和性が高い分野です。しかし、単に「税務ができる」「経営診断ができる」だけでは、複雑な承継問題のすべてには対応できません。 「事業承継支援スペシャリスト」という肩書きを持つことで、顧客(経営者)に対して「私は承継プロセスの全体を俯瞰して支援できる専門家である」という強いメッセージを発信できます。
M&Aスキルの習得と深化
近年、親族内承継が難しくなっていることから、第三者へのM&Aによる事業承継が急増しています。本資格のカリキュラムにはM&Aの実務も含まれており、企業価値算定(バリュエーション)やPMI(買収後の統合プロセス)といった高度な知識を学ぶことができます。
ネットワークの構築
日本経営管理協会の会員となることで、弁護士、税理士、不動産鑑定士など、他業種のスペシャリストとの横のつながりが生まれます。事業承継は一人で完結させるのが難しいため、この「専門家ネットワーク」こそが最大の武器になります。
どんな人におすすめの資格?
事業承継支援スペシャリストは、以下のような方に特におすすめです。
- 事業承継分野に強くなりたい士業の方
- 中小企業支援に関わる金融機関職員
- 経営コンサルタントとして差別化したい方
- 企業の管理部門・後継者問題に関わる方
- 将来、独立や副業で支援業務を行いたい方
「人の人生や会社の未来に深く関わる仕事がしたい」という想いを持つ方には、非常にやりがいのある分野です。
事業承継支援スペシャリストの資格試験について
分類
民間資格
受験資格
誰でも受験できます。
申込期間
講座開始2週間前
申込方法
インターネットから申し込みできます。
試験日
11月上旬
受験料
- 受講料:88,000円(消費税込み)
- 検定試験料:11,000円(消費税込み)
- 受講+検定試験合計:99,000円(消費税込み)
試験内容
- 事業承継の基礎知識
- 親族内承継・従業員承継・第三者承継の違い
- M&Aの基礎と実務
- 事業承継計画の策定方法
- 税務・法務の基礎
- 事業承継におけるリスク管理
- 後継者育成のポイント
- 事業承継支援の実務プロセス
事業承継支援スペシャリストの書籍
事業承継支援スペシャリストの書籍を以下のリンクから検索することができます。
役立つサイト
- 一般社団法人 日本経営管理協会 (JIMA)
主催団体のサイトです。試験の最新情報をチェック出来ます。
事業承継支援スペシャリストは「人と企業を未来につなぐ資格」
事業承継支援スペシャリストは、
単なる知識習得型の資格ではなく、経営者の想いと企業の未来をつなぐ役割を担う資格です。
- 事業承継という社会的ニーズの高い分野
- 実務に活かせる体系的な知識
- 士業・コンサルの専門性強化
- 中小企業の未来を支えるやりがい
これらを兼ね備えた資格として、今後ますます注目されていくでしょう。
「事業承継という分野で、誰かの役に立ちたい」
そう考えている方にとって、事業承継支援スペシャリストは非常に価値ある一歩となるはずです。

