近年、企業の人事担当者や管理職だけでなく、一般社員や学生の間でも注目度が急上昇している資格があります。それが「メンタルヘルス・マネジメント®検定試験」です。
ストレス社会と言われる現代において、心の健康を守ることは個人の問題にとどまらず、企業の生産性や組織運営にも直結する重要テーマになりました。休職者の増加、離職率の上昇、ハラスメント問題など、メンタルヘルスに関する課題は年々複雑化しています。
こうした背景の中、職場で求められる知識とスキルを体系的に学べる資格として、多くの企業が社員研修に導入し、個人のキャリアアップにも直結する資格として人気が高まっています。
この記事では、メンタルヘルス・マネジメント®検定試験の特徴・難易度・メリット・試験日程まで、最新情報をもとにわかりやすく解説します。
メンタルヘルス・マネジメント検定とは
メンタルヘルス・マネジメント検定試験は、大阪商工会議所と施行商工会議所が主催する公的資格です。
働く人たちが自らの心の健康を守り(セルフケア)、また管理職や企業が組織として従業員のメンタルヘルス対策を適切に行う(ラインケア・組織的ケア)ために必要な知識・技術の習得を目的としています。
なぜ今、この資格が必要なのか
厚生労働省の調査によれば、仕事に対して強い不安やストレスを感じている労働者の割合は依然として高い水準にあります。さらに、2015年からは「ストレスチェック制度」が義務化されるなど、国を挙げた対策が進んでいます。
しかし、制度があっても「現場のリーダーに知識がない」「本人が不調に気づけない」という状況では意味がありません。この検定は、法的な知識から具体的なコミュニケーション技法までを網羅しているため、「実務で使えるメンタルヘルス知識」の証明として非常に高く評価されています。
3つのコースの違いを徹底解説
3つの級の違いをわかりやすく解説
メンタルヘルス・マネジメント検定試験は、目的別に3つの級が用意されています。
Ⅲ種(セルフケアコース)
自分自身のメンタルヘルス管理を目的とした入門レベルです。
主な内容
- ストレスの基礎知識
- 心の健康を保つためのセルフケア
- ストレスチェック制度の概要
- 不調のサインへの気づき方
特徴
- 初学者向け
- 学生や新社会人にもおすすめ
- メンタルヘルスの「第一歩」として最適
難易度は比較的低く、初めて資格勉強をする方でも挑戦しやすいのが魅力です。
Ⅱ種(ラインケアコース)
管理職・リーダー層向けの実務重視コースです。
主な内容
- 部下のメンタル不調の早期発見
- 面談・声かけのポイント
- 職場環境の改善
- ハラスメント防止
- 休職・復職時の対応
特徴
- 実務での活用度が非常に高い
- 管理職・チームリーダーに人気
- 人事評価で評価されるケースも多い
企業でのニーズが最も高いのが、このⅡ種です。
「現場で役立つ資格」として、多くの会社で取得が推奨されています。
Ⅰ種(マスターコース)
人事・労務・経営層向けの最上位資格です。
主な内容
- 組織全体のメンタルヘルス対策
- 企業リスクマネジメント
- 労働安全衛生法・関連法規
- メンタル不調と経営への影響
特徴
- 論述試験あり
- 難易度は高め
- 専門性・信頼性が非常に高い
メンタルヘルス対策を「組織戦略」として考えるレベルの資格で、
人事・総務・経営企画部門の方に特に向いています。
メンタルヘルス・マネジメント検定を取得するメリット
仕事に直結する実践的な知識が身につく
理論だけでなく、「職場でどう対応するか」が具体的に学べます。
管理職・人事職での評価が高い
昇進・昇格時のアピール材料になることも多く、
特にⅡ種は企業からの評価が高い資格です。
自分自身のメンタルケアにも役立つ
セルフケアの知識は、仕事だけでなく私生活でも大きな武器になります。
国家資格に近い信頼性
商工会議所主催の検定で、社会的認知度・信頼性が高い点も安心材料です。
メンタルヘルス・マネジメント検定について
分類
公的資格
受験資格
誰でも受験できます。
申込期間
- Ⅱ種・Ⅲ種
① 9月中旬~下旬頃まで
② 1月下旬~2月上旬頃まで(年2回) - Ⅰ種
① 9月中旬~下旬頃まで(年1回)
申込方法
インターネットで申し込みできます。
試験日
- Ⅱ種・Ⅲ種
① 11月上旬頃
② 3月中旬頃(年2回) - Ⅰ種
① 11月上旬頃(年1回)
合格発表
- Ⅱ種・Ⅲ種
① 12月中旬頃
② 4月下旬頃 - Ⅰ種
① 1月中旬頃
受験料
- Ⅲ種(セルフケアコース):5,280円
- Ⅱ種(ラインケアコース):7,480円
- Ⅰ種(マスターコース):11,550円
試験地
札幌、仙台、さいたま、千葉、東京、横浜、新潟、浜松、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、高松、福岡
試験形式
- Ⅲ種・Ⅱ種:マークシート方式
- Ⅰ種:マークシート+論述試験
試験内容
- Ⅲ種(セルフケアコース):選択問題:2時間
①メンタルヘルスケアの意義
②ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識
③セルフケアの重要性
④ストレスへの気づき方
⑤ストレスへの対処、軽減の方法
⑥社内外資源の活用 - Ⅱ種(ラインケアコース):選択問題:2時間
①メンタルヘルスケアの意義と管理監督者の役割
②ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識
③職場環境等の評価および改善の方法
④個々の労働者への配慮
⑤労働者からの相談への対応 (話の聴き方、情報提供および助言の方法等)
⑥社内外資源との連携
⑦心の健康問題をもつ復職者への支援の方法 - Ⅰ種(マスターコース):選択問題:2時間、論述問題:1時間
①企業経営におけるメンタルヘルス対策の意義と重要性
②メンタルヘルスケアの活動領域と人事労務部門の役割
③ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識
④人事労務管理スタッフに求められる能力
⑤メンタルヘルスケアに関する方針と計画
⑥産業保健スタッフ等の活用による心の健康管理の推進
⑦相談体制の確立
⑧教育研修
⑨職場環境等の改善
合格基準
- Ⅲ種・Ⅱ種:70点(100点中)以上
- Ⅰ種
①選択問題 100点
②論述問題 50点
①②の得点の合計が105点以上。
但し、論述問題の得点が25点以上。
合格率
- Ⅲ種:75%程度
- Ⅱ種:60%程度
- Ⅰ種:20%程度
勉強時間・勉強方法
勉強時間
- Ⅲ種:約20〜30時間
- Ⅱ種:約40〜60時間
- Ⅰ種:約80〜120時間
勉強方法
独学で取得可能です。
メンタルヘルス・マネジメント検定の書籍
メンタルヘルス・マネジメント検定の書籍を以下のリンクから検索することができます。
役立つサイト
- メンタルヘルス・マネジメント®検定試験
主催団体の公式サイトです。試験の最新情報をチェック出来ます。
メンタルヘルス・マネジメント検定は“今の時代に最も価値ある資格”のひとつ
メンタルヘルスの重要性が高まる中、この資格は単なる知識習得にとどまらず、職場の環境改善・キャリアアップ・自己理解の向上に直結する実務的な資格です。
特に、あなたのように「効率的に学び、確実に成果を出したい」タイプの学習者にとって、非常に相性の良い資格と言えます。

