人事・総務は、企業活動を支える“縁の下の力持ち”とも言える重要な部門です。採用、労務管理、給与計算、社会保険、就業規則、安全衛生、福利厚生、社内規程の整備など、業務範囲は非常に広く、かつ法令知識と実務能力の両方が求められます。
しかしその一方で、
「自分の人事・総務スキルがどのレベルなのか分からない」
「経験はあるが、客観的に証明できる資格がない」
「これから人事・総務の仕事に携わりたいが、何から学べばいいのか迷っている」
こうした悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。
そんな人事・総務担当者のために誕生したのが、一般社団法人 人事総務スキルアップ検定協会が主催する「人事総務検定」す。本記事では、人事総務検定の特徴、レベル別の内容、メリット、どんな人におすすめなのかまで詳しく解説します。
人事総務検定とは
人事総務検定は、人事労務や総務の実務知識を体系的に学ぶことができる検定試験です。 最大の特徴は、単なる暗記試験ではなく、「現場で使える実務能力」に焦点を当てている点にあります。
なぜ今、人事総務の専門性が求められているのか?
現代のビジネスシーンでは、働き方改革関連法の施行、リモートワークの普及、そして人的資本経営の重要性が叫ばれています。これらすべてに対応するのが「人事・総務」の役割です。
しかし、多くの企業では、人事総務の業務は「先輩からの引き継ぎ(OJT)」に頼っており、体系的な教育が行き届いていないのが現状です。その結果、以下のような問題が起こっています。
- 法改正に対応できず、知らず知らずのうちに「コンプライアンス違反」を犯している。
- 社会保険の手続きや給与計算でミスが多発する。
- 従業員からの労務相談に自信を持って答えられない。
人事総務検定は、こうした課題を解決するために、「理論(法律)」と「実務(手続き)」の架け橋となるべく誕生しました。
人事総務検定のレベル別ガイド
この検定は、自分の習熟度やキャリアステップに合わせて、3つの級に分かれています。
【3級】担当者レベル(基礎知識の習得)
人事総務の未経験者や、配属されたばかりの若手を対象としています。
- 学習内容: 労働基準法の基礎、雇用保険・社会保険の加入条件、年次有給休暇のルールなど。
- 狙い: 「言われた通りに作業する」から「意味を理解して仕事をする」状態へのステップアップ。
【2級】主任・係長レベル(実務遂行能力の習得)
実務経験が数年ある方や、より深い知識を身につけたい方を対象としています。
- 学習内容: 就業規則の作成・変更、より複雑な社会保険手続き、定年退職者の手続き、給与計算の実践。
- 狙い: 一通りの定型業務を一人で完遂できる能力の証明。
【1級】課長・マネージャーレベル(判断・管理能力の習得)
管理職や、会社に対して提案を行いたい方を対象としています。
- 学習内容: 労働組合への対応、メンタルヘルス対策、人事制度の構築、高度な労務トラブルの解決。
- 狙い: リスクマネジメントができ、経営陣に対して人事戦略の助言ができるプロフェッショナルの育成。
人事総務検定の取得メリット
資格情報ステーションの情報を参考に、メリットを整理します。
人事・総務の専門性を客観的に証明できる
バックオフィス業務は成果が見えにくいため、スキル証明が難しい領域です。 人事総務検定は、体系的な知識を持つことを示す“わかりやすい指標”になります。
未経験からのキャリアスタートに有利
3級は受験資格がなく、基礎知識を網羅できるため、未経験者の転職活動でアピール材料になります。
実務に直結した知識が身につく
採用、労務、社会保険、給与計算など、日々の業務に直結する内容が多く、 「資格勉強=実務力アップ」につながる点が魅力です。
管理職・人事責任者へのキャリアアップに有効
2級・1級は主任〜課長レベルの知識が求められ、 人事制度構築や労務リスク管理など、組織運営に関わるスキルが身につきます。
企業からの評価が高い
バックオフィス強化が求められる中、 「人事総務の専門資格を持っている」という事実は企業側にとって安心材料になります。
試験形式と合格へのロードマップ
「試験に自信がない…」という方もご安心ください。この検定には、非常に画期的なシステムがあります。
講習受講による資格付与(特別認定講習)
人事総務検定の最大の特徴は、「特別認定講習」を受講し、修了試験に合格することで資格が認定されるというルートがある点です。 指定の講習(現在はLEC東京リーガルマインドなどで実施)をしっかり受講すれば、仕事で忙しいビジネスマンでも、短期間で効率的に資格を取得することが可能です。
- 3級: 1日の講習+確認テスト
- 2級: 2日の講習+確認テスト
独学での受験
もちろん、一般の検定試験として受験することも可能です。公式テキストを活用し、過去問を解くことで合格レベルに到達できます。
どんな人に向いている資格?
人事総務検定は、以下のような方に特におすすめです。
- 人事・総務の仕事に興味がある未経験者
- バックオフィスでキャリアを築きたい人
- 労務管理や社会保険の知識を体系的に学びたい人
- 管理職を目指す人
- 企業の人事制度や評価制度に関わりたい人
- 労務リスクを減らしたい企業担当者
人と組織を支える仕事が好きな方にとって、非常に相性の良い資格です。
人事総務検定の資格試験について
分類
民間資格
受験資格
誰でも受験できます。
申込期間
人事総務検定の申込み期間は、例年試験前日までです。
申込方法
LEC各本校の窓口で申し込みできます。
試験日
3月上旬、10月上旬
受験料
- 3級特別認定講習:22,000円(3級受講料11,000円(税込)+ 協会登録料11,000円(税込))
- 3・2級特別認定講習パック:44,000円(3級受講料11,000円(税込)+ 2級受講料22,000円(税込) + 協会登録料11,000円(税込))
- 3級(検定試験):5,090円(税込)
- 2級(検定試験):7,640円(税込)
試験地
LEC各本校
試験内容
- 3級(60分、選択式)
人事総務の主な仕事内容、労働保険・社会保険の仕組み、労働保険・社会保険の新規適用手続き、従業員の採用の手続き、従業員の退職の手続き、給与計算に関する基礎知識、個人情報、マイナンバーの基礎知識 - 2級(120分、選択式)
労務管理に関する法律知識および人事書式、労使協定、就業規則の作成①、労務管理に関する法律知識および人事書式、労使協定、就業規則の作成②、従業員に関する労働保険・社会保険手続き(給付編)、労働保険・社会保険の定例業務(手続編) - 1級(180分、選択式)
人事総務の重要な手続、人事総務の予防的・戦略的知識
合格率
非公開
勉強時間・勉強方法
勉強時間
1. 【3級】担当者レベル
目安:10時間〜20時間
- 独学の場合: 全くの未経験者でも、テキストを2〜3回読み込み、付属の練習問題を解けば合計15時間程度で合格ラインに達します。1日1時間の勉強なら約2週間です。
- 特別認定講習(LEC等)の場合: 1日(約6時間)の講習を集中して受け、その後の確認テストに臨む形になります。予習・復習を含めれば、追加の勉強はほとんど不要なケースが多いです。
2. 【2級】主任・係長レベル
目安:30時間〜50時間
- 独学の場合: 給与計算や社会保険の具体的な手続きなど、より実務的な計算やルールが増えるため、3級よりもしっかりとした対策が必要です。1日1時間の勉強で1ヶ月〜1.5ヶ月程度が目安です。
- 特別認定講習(LEC等)の場合: 2日間の講習(計12時間程度)を受講します。講習内容が非常に濃密なため、講習以外に自宅で5〜10時間程度の復習(特に計算問題)を行うと非常にスムーズに合格できます。
3. 【1級】課長・マネージャーレベル
目安:60時間〜100時間以上
- 独学の場合: 労働法だけでなく、人事戦略や高度な労務トラブルへの対応力が問われます。社会保険労務士試験のレベルに近づくため、2〜3ヶ月かけてじっくり取り組む必要があります。
- 講習の場合: 2日間の講習(計12時間程度)+事後のレポート提出や高度な試験が課されます。講習後の自習時間が合否を分けるポイントになります。
勉強方法
LECでの講習受講か、独学での試験受験となります。
人事総務検定の書籍
人事総務検定の書籍を以下のリンクから検索することができます。
役立つサイト
- 一般社団法人 人事総務スキルアップ検定協会
主催団体のサイトです。試験の最新情報をチェック出来ます。
人事総務検定は“実務に強い人材”を目指す人に最適
人事総務検定は、単なる知識試験ではなく、実務に直結したスキルを体系的に身につけられる資格です。 未経験者のキャリアスタートから、主任・課長レベルのキャリアアップまで幅広く対応しており、 人事・総務の専門性を客観的に証明できる点が大きな魅力です。
バックオフィスの重要性が高まる今、 「人事総務のプロフェッショナル」を目指すなら、 人事総務検定は非常に有力な選択肢になるでしょう。

