産業カウンセラーとは?働く人と組織を支える“心の専門家”

近年、職場におけるメンタルヘルス対策の重要性はますます高まっています。長時間労働、ハラスメント、キャリア不安、人間関係のストレスなど、働く人が抱える悩みは多様化・複雑化しています。
そうした現代社会において注目されている資格の一つが「産業カウンセラー」です。

産業カウンセラーとは、主に企業や組織で働く人を対象に、心理学的知識とカウンセリング技法を用いて心のケアや職場環境の改善を支援する専門家です。個人の悩みに寄り添うだけでなく、組織全体の健全化を支える役割も担う点が大きな特徴です。

目次

産業カウンセラーの役割と仕事内容

働く人のメンタルサポート

産業カウンセラーの中心的な業務は、働く人の悩みや不安を聴くことです。
仕事上のストレス、人間関係、昇進・異動への不安、キャリアの悩みなど、相談内容は多岐にわたります。アドバイスを押し付けるのではなく、「傾聴」を基本としたカウンセリングを行い、相談者自身が問題解決の糸口を見つけられるよう支援します。

職場環境の改善・組織支援

産業カウンセラーは個人対応だけでなく、組織全体へのアプローチも行います。
例えば、ストレスチェック結果の分析、職場のコミュニケーション改善への助言、管理職向けのメンタルヘルス研修の実施などが挙げられます。人事部や産業医と連携しながら、働きやすい職場づくりに貢献します。

休職・復職支援

メンタル不調による休職者の復職支援(リワーク支援)も重要な役割です。
本人の不安を丁寧に聴きながら、職場復帰までのステップを整理し、無理のない形での復帰をサポートします。企業側との調整役として機能することも多く、非常に社会的意義の高い仕事です。

産業カウンセラーを取得するメリット

社会的ニーズが高い

メンタルヘルス対策は企業の法的・社会的責任となっており、産業カウンセラーのニーズは今後も安定して続くと考えられます。

人事・教育・福祉分野との相性が良い

人事担当者、キャリアコンサルタント、社会福祉士、教員など、対人支援職との親和性が非常に高い資格です。既存のキャリアに専門性を加える形で活かせます。

傾聴力・対人スキルが人生全体に役立つ

資格取得の過程で身につく「聴く力」「受け止める姿勢」は、仕事だけでなく家庭や人間関係にも良い影響を与えます。
「資格以上の価値がある」と感じる受講者が多いのも、産業カウンセラーの特徴です。

産業カウンセラーはこんな人におすすめ

  • 人の話を聴くことが好きな人
  • 心理学・メンタルヘルスに関心がある人
  • 人事・教育・福祉分野で専門性を高めたい人
  • 定年後・セカンドキャリアを考えている人
  • 「人の役に立つ仕事」がしたい人

資格取得は簡単ではありませんが、その分、人としての成長を実感できる資格でもあります。

産業カウンセラーの資格試験について

分類

民間資格

受験資格

養成講座修了

協会が行う産業カウンセリングの学識及び技能を修得するための講座を修了した者は、  修了年度に関係なく受験可能。

修士資格①

大学院研究科において心理学又は心理学隣接諸科学、人間科学、人間関係学のいずれかの名称を冠する   専攻(課程)の修了者。
第3条第4号に定めるA群からG群(注1)までの科目において、1科目を2単位以内として10科目以上、20単位以上を取得していることを要する。  ただし、D群からG群の科目による取得単位は6単位以内とする。

修士資格②3年以上の職業経験有

社会人として週3日以上の職業経験を通算3年以上有し、大学院研究科において心理学又は心理学隣接諸科学、人間科学、人間関係学 いずれかの   名称を冠する専攻(課程)の修了者。
第3条第4号に定めるA群からG群(※1)までの科目において、1科目を2単位以内として4科目以上、8単位以上を取得していることを要する。 ただし、D群からG群の科目による取得単位は2単位 以内とする。 本号に記載の職業経験とは、雇用形態を問わずすべての職業経験をいう。

学士資格

4年制大学学部の卒業者(注2)であって、公認心理師法 別添「公認心理師法第7条第1号及び第2号に 規定する公認心理師となるために必要な科目の確認について」の別表「大学における必要な科目」のうち、協会が指定する17科目(注3)について、所定の単位を取得した者。 ただし、当該大学が公認心理師コースを開始した年度以降に 履修した単位に限る。

(注1)A群~G群までの科目群について 

A群産業カウンセリング、カウンセリング、臨床心理学、心理療法各論(精神分析・行動療法など) などの科目群
B 群カウンセリング演習 カウンセリング実習などの科目群
C群人格心理学、心理アセスメント法などの科目群
D群キャリア・カウンセリング、キャリア概論などの科目群
E群産業心理学、産業・組織心理学、グループダイナミックス、人間関係論などの科目群
F群労働法令の科目群
G 群精神医学、精神保健、精神衛生、心身医学、ストレス学、職場のメンタルヘルスなどの科目群

(注2)4年制大学学部の卒業者について
「学士」受験資格は、4年制大学に1年次から入学し当該科目を履修している方を対象としています。

(注3)協会が指定する科目
※下記17科目全ての履修が必要となります(読み替え科目可)

 ①「公認心理師の職責」    ⑩「障害者・障害児心理学」 
 ②「心理学概論」       ⑪「心理的アセスメント」 
 ③「臨床心理学概論」     ⑫「心理学的支援法」
 ④「知覚・認知心理学」    ⑬「健康・医療心理学」
 ⑤「学習・言語心理学」    ⑭「産業・組織心理学」
 ⑥「感情・人格心理学」    ⑮「人体の構造と機能及び疾病」
 ⑦「神経・生理心理学」    ⑯「精神疾患とその治療」
 ⑧「社会・集団・家族心理学」 ⑰「関係行政論」
 ⑨「発達心理学」      

申込期間

  • 11月中旬~12月上旬
  • 4月中旬~5月上旬

申込方法

インターネットから申し込みできます。

試験日

  • 学科:1月下旬、6月下旬
  • 実技:4月中旬、7月上旬

合格発表

  • 2月下旬頃
  • 8月下旬頃

受験料

  • 学科試験:11,000円
  • 実技試験:22,000円

試験地

  • 学科試験
    札幌、仙台、東京、横浜、高崎、静岡、名古屋、金沢、大阪、岡山、松山、福岡、沖縄
  • 実技試験
    札幌、仙台、東京、高崎、名古屋、大阪、岡山、松山、福岡、沖縄

試験内容

  • 学科試験(マークシート:60問/150分)
    産業カウンセリング概論、カウンセリングの原理および技法、パーソナリティ理論、職場のメンタルヘルス、事例検討
  • 実技試験(ロールプレイング、口述試験/30分程度)
    産業カウンセラーとしての基本的態度、技法の適切な活用、自己理解的側面、社会的貢献への姿勢及び認識

合格率

60%程度

勉強時間

勉強時間

養成講座を含めると、総学習時間は300〜500時間以上が一般的です。
講座では、理論学習だけでなく、グループワークや実技演習が多く、時間的・精神的にも一定の覚悟が必要です。

産業カウンセラーの書籍

産業カウンセラーの書籍を以下のリンクから検索することができます。

役立つサイト

産業カウンセラーは“心の時代”に求められる専門資格

産業カウンセラーは、単なる資格ではなく、働く人と組織を支えるための姿勢とスキルを身につけるプロセスそのものに価値があります。
メンタルヘルスが重要視される現代社会において、その役割は今後さらに広がっていくでしょう。

「人の話を本気で聴けるようになりたい」「社会に必要とされる専門性を身につけたい」
そう考えている方にとって、産業カウンセラーは非常に魅力的で、やりがいのある資格と言えます。

資格取得を通じて、あなた自身のキャリアと人生の幅を広げてみてはいかがでしょうか。

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