近年、消費者トラブルや契約・広告・製品安全などの問題は複雑化し、企業にも行政にも「消費者視点で判断できる専門家」が求められるようになりました。その中心的な役割を担うのが、消費生活アドバイザーです。
この資格は、内閣総理大臣および経済産業大臣の事業認定資格であり、民間資格でありながら公的性格が非常に強い点が特徴です。さらに、試験に合格すると国家資格である「消費生活相談員資格」も同時に取得できるという大きなメリットがあります。
この記事では、消費生活アドバイザーの概要から試験内容、活躍フィールド、向いている人まで徹底的に解説します。
消費生活アドバイザーとは
消費生活アドバイザーは、内閣総理大臣・経済産業大臣の認定を受けた、一般財団法人日本産業協会が実施する試験に合格することで得られる資格です。
この資格を一言で表すなら、「消費者、企業、行政の3者を結ぶ専門家」。
現代社会では、商品やサービスが複雑化し、サブスクリプション契約のトラブルやネット通販の詐欺被害など、消費者を取り巻く環境は厳しさを増しています。一方で、企業側も「消費者の声をどう経営に活かすか」「いかにしてコンプライアンス(法令遵守)を守るか」という課題に直面しています。
そこで、消費者の視点に立ちつつ、企業の論理も理解できる「専門的な調整役」として、消費生活アドバイザーが必要とされているのです。
公的資格としての高い信頼性
この資格、試験に合格すると「消費生活相談員」という国家資格の登録資格も同時に得られます(※2016年の消費者安全法改正による)。これにより、消費生活センターなどの公的機関で相談員として働く道も大きく拓けるようになりました。
消費生活アドバイザーが注目される理由
消費者トラブルの増加・複雑化
インターネット通販、サブスクリプション、SNS広告など、消費者トラブルは年々複雑になっています。
そのため、法令知識+実務対応力を兼ね備えた人材が求められています。
企業のコンプライアンス意識の高まり
景品表示法、特定商取引法、消費者契約法など、消費者関連法規は厳格化しています。
消費生活アドバイザーは、これらを理解し、企業リスクを未然に防ぐ存在として評価されています。
CSR・ESG経営との親和性
「消費者を大切にする姿勢」は、企業価値を左右する時代です。
消費生活アドバイザーは、企業の信頼性向上に直結する資格といえるでしょう。
消費生活アドバイザーを取得するメリット
企業内での評価・キャリアアップにつながる
消費者対応や法令知識を体系的に学んでいる証明となるため、
昇進・異動・専門職化に有利です。
実務に直結する知識が身につく
学習内容はすべて実践向き。
- 消費者心理
- 契約・表示・広告のルール
- クレーム対応の考え方
「資格を取ったけど使えない」ということが起こりにくいのが特徴です。
社会的信頼性が高い
長年の実績がある資格で、企業・団体からの認知度も高く、
名刺に書ける信頼性のある資格といえます。
消費生活アドバイザーはこんな人におすすめ
- 企業のお客様対応部門で働いている方
- クレーム対応に自信をつけたい方
- 消費者関連の専門性を高めたい方
- 社会的意義のある資格を取りたい方
- 将来、管理職・専門職を目指す方
消費生活アドバイザーの資格試験について
分類
公的資格
受験資格
誰でも受験できる
申込期間
7月下旬~8月下旬
申込方法
インターネットで申し込み出来ます。
試験日
- 1次:10月の土日のうち4日程から希望日を選択
- 2次:11月下旬
合格発表
- 1次:10月下旬
- 2次:2月上旬
受験料
16,500円(1次免除は、11,000円)
試験地
- 1次:全国のCBT試験会場
- 2次:札幌、東京、名古屋、大阪、福岡
試験内容
- 1次:択一式(CBT試験)120分
①消費者問題
②消費者のための行政・法律知識
行政知識、法律知識
③消費者のための経済知識
経済一般と経済統計の知識、企業経営一般知識、金融の知識、生活経済、地球環境問題・エネルギー需給
④生活基礎知識
医療と健康、社会保険と福祉、衣服と生活、食生活と健康、快適な住生活、商品・サービスの品質と安全性、広告と表示 - 2次
①論文
筆記方式により実施します。次の3題より1題の選択となります。
消費者問題 / 法律知識 / 企業経営一般知識
②面接
合格率
31.2%
勉強時間・勉強方法
勉強時間
500~600時間前後
勉強方法
独学で取得可能です。
消費生活アドバイザーの書籍
消費生活アドバイザーの書籍を以下のリンクから検索することができます。
役立つサイト
- 一般財団法人 日本産業協会
主催団体のサイトです。試験の最新情報をチェック出来ます。
社会に必要とされる専門家を目指すなら、最有力の資格
消費生活アドバイザーは、
- 公的性格の強い信頼性の高い資格
- 国家資格も同時取得できる
- 企業・行政で活躍できる
- 社会貢献性が高い
- 将来性も安定している
という、非常にバランスの良い資格です。
「人の役に立つ専門性を身につけたい」 「企業で消費者視点を活かした仕事がしたい」 「行政で地域の暮らしを支えたい」
そんな人にとって、消費生活アドバイザーは最適な選択肢になります。

